ここは私の独壇場、高い塔の頂。
私はきなちゃん、この家の暗黙の支配者。
私の目は、家の中のすべてを見通す。
人間たちが私の視線を感じて震えるのがわかる。
彼らは私の気まぐれに一喜一憂し、私の冷たい視線に恐れをなしている。
ここから私は、わたしの小さな王国を見下ろしている。
彼らがわたしに何を望むか、そのすべてを感じ取っている。
しかし、
「きなちゃん」と呼ぶ声を聞きながらも、私は彼らの期待をあえて裏切るのだ。
わたしはここから一歩も動かず、家族が私のために用意したごはんを待つ。
人間らの努力を見て、わたしは楽しむ。時には一緒に遊ぶふりをして、突然の跳躍で驚かせる。
それこそが私のゲーム。日常。
彼らの平穏を乱すのは、わたしの日々の楽しみなのだ。
人間は、わたしを家族と呼ぶが、わたしは知っている。
わたしはこの家の真の支配者、夜の女王。
高いこの頂きから、永遠にこの小さな王国を見守り続けるのだ。
女王として。
それが責務なのだ。
完